かつて、岩手県花巻市に、東北本線 花巻駅から花巻温泉郷と花巻南温泉郷へ向かう鉄道「花巻電鉄」が走っていました。
花巻温泉郷に向かう路線は「鉄道線」、花巻南温泉郷に向かう路線は「軌道線」と呼ばれ、どちらも線路幅が７６２ｍｍと日本の在来線の一般的な線路幅よりも狭く、「特殊狭軌(とくしゅきょうき)」と呼ばれる線路でした。
「狭軌(きょうき)」と呼ばれる日本の在来線の一般的な線路幅は１０６７ｍｍ、新幹線で採用されている「標準軌(ひょうじゅんき)」と呼ばれる世界標準の線路幅は１４３５ｍｍなので、「特殊狭軌」と呼ばれる７６２ｍｍの線路幅は、新幹線の線路幅の約半分しかないことがわかります。
その線路幅の狭い「特殊狭軌」と呼ばれる線路を走っていた花巻電鉄の車両は、車体幅が約1.6ｍと極端に狭く、車端部では更に幅のせばまった奇異な形をした車両でした。
そして、その特徴ある車両前面から「馬づら電車」と呼ばれていたそうです！
その「馬づら電車」が、花巻市の材木町公園という公園に展示保存されています。
今回、その「馬づら電車」を見学してきました！
気になっていた方のご参考になれば幸いですので、ご紹介します。
馬づら電車は、とても個性的な車両！
材木町公園は、花巻駅の西口から約500ｍほどの距離で、徒歩５～６分の場所にあります。
材木町公園に着くと、遊具の近くに電車が見えます！
公園に入り、電車に向かいます！
これが展示保存されている花巻電鉄「馬づら電車」です！
金網のなかに展示されているので、車両のなかに入ったり触ることはできませんが、しっかり屋根で覆われていて、イタズラもされないので、保存状態はとても良好です。
鉄道ファンとしては、車両がしっかり保存されるので、とてもうれしいです！
それにしても、こんなに幅の狭い車両は見たことがありません！
「奇異な形をしていた」と言われていますが、まさに個性的な車両です！
金網のなかに人が入ることはできませんが、金網の隙間から写真を撮ってみました！
反対側からも見てみましょう！
なんと表現したらいいかわかりませんが、この車両、スマホを横向きにして、立てたようなイメージです！
(^_^;)
こうして見ると、見事な「馬づら」ですね！
この車両の正式な名称は「デハ３形」
「近代化産業遺産」にも指定されています。
車両側面。
レトロな雰囲気が漂います！
足まわり。
２軸台車が前後に付いています。
集電装置には、トロリーポールが使われていたようです。
馬づら電車が、個性的な理由！
車体幅が、１.６ｍと本当に狭いですが、このような狭い車体幅の車両になった理由は、線路幅が特殊狭軌で狭いという理由だけではなく、デハ３形が運行されていた花巻電鉄 軌道線の建築限界も関係しているようです。
花巻電鉄 軌道線は、路面電車のかたちで営業していました。
昔の道路は、今ほど広い道路ではなく、幅も狭かったようです。
その幅の狭い道路の片側に花巻電鉄 軌道線の線路が敷かれ、狭い道路を車と電車が共用していたため、電車の建築限界が狭かったという理由もあるようです。
車体幅１.６ｍの電車ですが、車内には両側にロングシートが配置されています。
そのため、両側のロングシートに向かい合って座ると、お互いの膝がぶつかったとのことです！
おもしろいですね！
(^^;)
それにしても、個性的な車両！
初めて見た私は、カルチャーショックです！
(≧◇≦)
デハ３形「馬づら電車」の横には、花巻電鉄の線路跡や、車両についての解説があります。
花巻電鉄が運行されていた当時の写真もあります。
花巻市「材木町公園」に保存展示されている「馬づら電車」こと花巻電鉄・デハ３形は、今までに見たことのない、とても個性的な車両でした！
みなさん、一見の価値ありです！
なお、花巻電鉄に関しては、こちらの本がとても詳しく書かれています！
興味のある方は、チェックしてみてください！
東北に残る特殊狭軌（762㎜）の保存車両
馬づら電車と同じく、線路幅７６２mmの特殊狭軌を走っていた車両で、現在も保存されている車両が他にもあります。
ひとつは、山形県真室川町にある真室川森林鉄道の車両です。
この真室川森林鉄道の車両ですが、現在は観光用として敷設された線路のうえを現役で運行されています。
実際に動いている特殊狭軌の保存車両に乗車できる貴重な鉄道です。
詳しくは、下の記事をご覧ください。
もうひとつは、小坂鉄道レールパークに保存されている「１１号蒸気機関車」と「ハ1貴賓客車」です。
小坂鉄道は、開業当時は特殊狭軌７６２mmの線路幅で開業し、その後、国鉄との直通運転の目的で日本の標準的な線路幅である狭軌（１０６７mm）に改軌したようです。
小坂鉄道レールパークには、特殊狭軌の蒸気機関車とお召客車という、とても貴重な車両が保存されています。
ぜひ、特殊狭軌の保存車両を見学に行ってみてください！
【保存車両に関する記事】
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