かつて、秋田県湯沢市の奥羽本線 湯沢駅から分岐し、秋田県羽後町まで伸びる地方私鉄・羽後交通 雄勝線が運行されていました。
その羽後交通 雄勝線で運行されていた木造電車『デハ3』が、今でも秋田県羽後町に保存されています。
今回、その保存車両である『デハ3』を見学しに行ってきたので、ご紹介します。
羽後交通 雄勝線(おがちせん)とは!
羽後交通 雄勝線とは、秋田県湯沢市のJR奥羽本線 湯沢駅から秋田県羽後町西馬音内(にしもない)の梺駅(ふもとえき)まで伸びていた地方私鉄です。
営業キロは、わずか11.9キロと短い線区でした。
列車の運行本数は、1日10往復だったそうです。
雄勝線の沿革
1925年(大正14年) 雄勝鉄道株式会社として設立
1928年(昭和 3年) 湯沢~西馬音内間(8.9キロ)が開通
1933年(昭和10年) 西馬音内~梺間(2.8キロ)が開通
1943年(昭和18年) 羽後交通株式会社と合併
1967年(昭和42年) 西馬音内~梺間が廃止
1973年(昭和48年) 湯沢~西馬音内間が廃止
雄勝線の駅
雄勝線の駅は、以下の8駅でした。
- 湯沢(ゆざわ)
- 羽後山田(うごやまだ)
- 貝沢(かいざわ)
- 羽後三輪(うごみわ)
- あぐりこ
- 西馬音内(にしもない)
- 元西馬音内(もとにしもない)
- 梺(ふもと)
『デハ3』は、保存状態がとても良好!
羽後交通 雄勝線で運行されていた木造電車『デハ3』ですが、雄勝線の終点・梺駅(ふもとえき)だった場所に保存庫があり、そのなかに保存されています。
この保存庫、ふだんはシャッターが閉められていますが、羽後町役場に事前予約をすると、予約をした日にシャッターを開けてくれます。
ただし、見学希望日の3日前までに電話予約が必要とのことです。
わたしも事前に予約をしておいたので、保存庫に着くとシャッターが開かれていました!
さっそく、シャッターが開かれた保存庫に向かうと、なかに『デハ3』が保存されていました!
これが羽後交通 雄勝線で活躍していた木造電車『デハ3』です!
保存庫のなかに保存されていることもあり、かなり保存状態が良好な車両です。
鉄道ファンとしては、とてもうれしいですね!
(^^♪
保存庫のなかには、車両分の線路とホームも一緒に保存されています。
この線路は
保存庫をつくってから敷いたものなのか?
もともと線路があった場所に保存庫をつくったのか?
どっちなのか気になります!
ここの場所は、もともと終点の梺駅(ふもとえき)があった場所ということなので、もしかしたら線路があった場所に保存庫をつくったのかもしれませんね!
保存庫の前には、腕木式の信号機もありました!
保存庫のなかのホームには、「梺(ふもと)」と書かれた駅名板があります。
実際に使っていた駅名板でしょうか?
それでは、車両を見学してみます!
!(^^)!
まずは、車内です。
これが運転台です。
手前が「手ブレーキ」
まんなかが「ブレーキ弁」
奥が「マスコン」ではないかと思います。
手ブレーキは、クルマのサイドブレーキと同じ役目をするブレーキです。
車両を留置するときに、流転しないようにするブレーキです。
これは、ブレーキ弁ではないかと思います。
ここにハンドルを指して、ブレーキを掛けたり緩めたりします。
横にある圧力計のようなものは、ブレーキの圧力を見る圧力計ではないでしょうか!
これがマスコンだと思います。
マスコンは、クルマのアクセルと同じです。
電車のアクセルですね!
「三菱電機株式会社」の文字があります。
運転台の背面です。
ここにも「三菱電機株式会社」の文字が!
「自動遮断機」と書かれています。
架線と接している集電ポールと、車両の電気機器とのあいだの電気を入り切りするブレーカーのようなものでしょうか??
運転台の頭上にある照明は電球です!
レトロですね!
客室内を見てみます。
シートは、両側ロングシート。
シートの素材は皮のようです。
床と窓枠は木製です!
めちゃめちゃレトロ!!
(≧▽≦)
乗客が荷物を置く「網だな」は、布製の網です。
吊り革も、レトロな吊り革!
客室灯は電球です。
このレトロな雰囲気!
堪りません!
(^^♪
次に、外観を詳しく見てみます。
車両側面です。
木製の感じが出ていて、すごくいいです!
ドア横の丸窓が、レトロ感を醸し出しています!
- 形式 デハ3
- 自重 10.2t
- 換算 積1.3 空1.0
手書きが良いですね!
(^-^)
[梺⇔湯沢]の吊り掛け式サボ!
その下は、当時の羽後交通のエンブレムでしょうか?
一番下には『デハ3』と形式が書かれています。
全て手書きです!
ちなみに、反対側のサボは[湯沢⇔西馬音内]でした。
この表記は、昭和44年12月~昭和47年12月という意味でしょうか?
[西馬音内電]は、西馬音内電車区という車両基地があったのではないかと思われます。
おそらく、車両の法定検査関係の表記ではないかと思います。
[定員48人]の表記。
『デハ3』の定員は、48名だったようです!
車両の屋根上を見てみます。
架線からの集電は、集電ポールでおこなっていたようです。
車両前面を見てみます。
前照灯は、まんなかに1個。
後部標識(テールランプ)は、片側に1個です。
前照灯は、電球です。
レトロですね!
(^^♪
連結器は、自動連結器でした。
次に台車まわりを見てみます。
台車は、2軸台車が1個です。
台車には、「羽後交通」の表記が!
羽後交通 雄勝線の保存車両『デハ3』
ものすごく保存状態の良い車両です!
なお、羽後交通 雄勝線に関しては、こちらの本がとても詳しく書かれています。
羽後交通 雄勝線を、もっと詳しく知ってみたい方はチェックしてみてください。
保存車両を見学するには、電話で事前予約が必要!
前段でも触れましたが、羽後交通 雄勝線の保存車両「デハ3」を見学するには、見学したい日の3日前までに、羽後町役場に電話で事前予約をする必要があります。
理由は、車両保存庫は無人の保存庫で、ふだんはシャッターが閉められ、鎖錠されているためです。
羽後町役場に電話をして、見学希望日を伝えると、その希望日に合わせて車両保存庫を開いた状態にしてくれます。
詳しくは、羽後町のホームページをご覧ください。
車両保存庫へのアクセス
電車とバスでのアクセス
JR奥羽本線 湯沢駅で下車、「湯沢駅前」バス停から羽後交通 西馬音内線に乗車し 、「西馬音内堀回(にしもない ほりまわり)」バス停で下車、徒歩すぐです。
羽後交通 西馬音内線の時刻は、羽後交通のホームページでご確認ください!
車でのアクセス
東北中央自動車道を湯沢インターで降りて、国道398号線を羽後町方面に進みます。
国道398号線を羽後町方面に真っすぐ10キロほど進むと、左手に旧雄勝線 車両保存庫はあります。
途中、車両保存庫が近くなってくると、道路に案内板もあります。
車両保存庫のすぐ手前に、元西郵便局があるので、それを目安にすると良いと思います。
車両保存庫の前にも、道路に案内板が設置されています。
羽後交通 雄勝線の保存車両『デハ3』
保存状態のすごく良い木造電車!!
一見の価値ありです!
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